フランスで信頼されるオステオパシーと腰痛治療

腰が痛いと感じた時に日本人の多くの方が思い浮かべるのは、湿布や痛み止め、マッサージ、整骨院などかと思います。
しかし、ヨーロッパ、特にフランスでは「オステオパシー」という施術が腰痛の治療で一般的なことをご存じですか?フランスでは、人口の5人に4人が人生で一度は腰痛を経験すると言われており、国民病とも言えるほど一般的な症状です。また、人口の半数以上が1年に一度は腰痛を経験しているという調査もあります。
参考:La lombalgie, un enjeu de santé publique

オステオパシーは、薬や手術に頼らず、手だけで体の不調を整えていく手技療法です。フランスでは、国家資格として認められており、フランス人の身体のケアとして広く信頼されています。

また、高齢者、子ども、妊婦、アスリートなど、年齢・性別・職業を問わずフランス人はオステオパシーを選択することが多いです。
ではなぜ多くのフランス人が腰痛の最初の治療としてオステオパシーを選んでいるのでしょうか?
今回の記事ではオステオパシーが腰痛に対してどのような考え方、アプローチなのを分かりやすくご紹介するとともにその特徴も解説していきます。

腰痛の原因は腰だけではない?

なぜ多くのフランス人がオステオパシーを信頼しているのでしょうか?その秘密は、オステオパシーが具合の悪い箇所だけでなく身体全体を診るという考え方にあります。
これは、人体をひとつの有機的な全体として捉えるオステオパシーの根本的な考え方に基づいています。オステオパシーでは骨や筋肉、関節、内臓、神経、体液の流れなど、身体を構成するすべての要素が相互に関係し、バランスを取り合っていると考えます。
以下では腰痛を例に、オステオパシーがどのようなアプローチで施術を進めるのかを分かりやすくご紹介します。

オステオパシーにおける腰痛へのアプローチ

1.丁寧な問診と全身チェック(現在の状態を把握)

初診では、まずあなたの生活習慣や過去の病歴について、詳しく尋ねることから始めます。「いつから痛いですか?」はもちろん、「どんな仕事をしているか」「どんなスポーツをしてきたか」「過去に大きな怪我や手術はありましたか?」といったことを丁寧にヒアリングしていきます。
これは、腰痛の原因があなたの「腰」そのものだけにあるとは限らないからです
腰痛の原因は「過去の怪我、手術」「日常の姿勢」「運動不足」「内臓の機能低下」など多岐に渡ります。

さらにオステオパシーでは、腰痛をいくつかのタイプにおおまかに分類をして、その原因をより深く探ります。
タイプの分類は、症状や問題の性質さらに深く理解して、最適な施術と改善策へ導くための重要なポイントになります。

以下がオステオパシーにおける腰痛のタイプ別の原因になります。

  • 筋骨格系:筋肉の緊張や骨盤・背骨の歪み、関節の動きの悪さなど。
  • 炎症系:筋肉や関節の炎症による痛み。
  • 神経系:ヘルニアや坐骨神経痛など、神経が圧迫されることによる痛み。
  • 内臓系:消化器や生殖器など、内臓の不調が原因で腰に痛みが出ることがあります。
  • 心因性:ストレスや睡眠不足が引き起こす、心と体の緊張からくる痛み。
  • 感染症:病気が原因で腰に痛みを感じる場合もあり、この場合はまず病院での診断が優先されます。

2.「痛い場所」=「原因の場所」ではない

これがオステオパシーが他の施術方法と大きく違う点です。
オステオパシーでは、「体全体のバランス(身体の各システムの構造、可動性、機能性)」を診ます。
たとえば、長年の姿勢の悪さから股関節や足首に歪みが生じ、その影響で腰に負担がかかっている場合があります。あるいは、頭蓋骨や内臓の動きの悪さが、間接的に腰の筋肉を緊張させていることも。
オステオパシーの施術者(オステオパット)は足の小さな歪みから頭蓋骨のわずかな動きまで、注意深くチェックしていくのです。
腰痛の実際の施術でも、施術者は腰だけでなく、全身を優しく触りながら、本当の原因を探していきます。

3.【治療アプローチ】体の「自然治癒力」を引き出す施術

原因が特定できたら、いよいよ施術です。
痛みの原因となる箇所への施術はもちろんですが、身体全体のバランスが調和のとれる状態へと導くことで、自然治癒力を高めることができます。
自然治癒力は身体に本来備わっている、病気や怪我を自ら治し健康な状態を維持しようとする体の働きですが、日々の生活の中でうまく機能していない場合があります。

オステオパシーでは自然治癒力を最大限に高め、痛みを自然に減少させる身体になるために以下のテクニックから最適な組み合わせで施術を行います。

  • ストラクチャーテクニック:骨格や体の構造を整える
  • 組織テクニック:軟部組織の緊張や制限を解放
  • 内臓テクニック:内臓の緊張を改善し、働きを良くする
  • 頭蓋骨テクニック:頭蓋骨の働き、全身に行き渡る神経システム、脳脊髄液の流れなどを整える
  • クラニオセイクラル(頭蓋仙骨)テクニック:硬膜の緊張を緩和。脳脊髄液の流れなどを整え、背骨の可動性を改善させる

これらのテクニックを組み合わせ、体の歪みや緊張を解き、全身のバランスを調和のとれた状態に戻していきます。
オステオパシーの施術によって「痛みの緩和」だけでなく、「根本的な解決」、そして自然治癒力を高めることで「再発しにくい身体」を目指すことができます。

まとめ:薬に頼らないフランス発の新しい選択肢

日本ではまだあまり知られていませんが、フランスでは腰痛をはじめとする様々な体の不調をケアする上で、オステオパシーは欠かせない存在となっています。
「痛い場所だけを診るのではない」というオステオパシーの視点は、薬やマッサージに頼らずに腰痛を根本から改善したいと考える人にとって、新しい希望になるかもしれません。
もしあなたが「腰痛で悩んでいるけど、病院では異常なしと言われた」「原因が分からないけど痛みが続く」といった状況なら、フランスで信頼されるオステオパシーを、新たな選択肢として考えてみてはいかがでしょうか?


この記事の監修者情報 近藤 陽子 Ostéopathe D.O. 近藤 陽子

資格
フランス政府保健省認可校パリCSO (Conservatoire supérieur d’Ostéopathie) にて、オステオパシー国家資格 (D.O.) 取得

経歴
東京都出身。
パリのオステオパシー学校CSOで5年間にわたり、医学理論とオステオパシー技術を習得。新生児・小児、妊娠期、アスリート、がん患者など、多岐にわたる専門カリキュラムと臨床経験を修了。

パリでオステオパットとして従事した後、現在は東京を拠点とし、様々な国籍の方々に施術を行う。