全体性・ホリスティックな治療

人の丸ごとをケア人間をケアするオステオパシー

「全体性」という言葉は、オステオパシーの重要な理念を表すものです。オステオパシーは、人を全体性においてケアします。
なぜなら、その人の身体というものは、身体のみで機能しているわけではなく、身体以外のものとも深く関連しているからです。

この全体性という特徴は、診療の進み方にもよく現れています。
診療は、まず問診をすることから始まります。なぜ施術が必要なのかという主訴をお聞きし、同時にこれまでの病歴・既往症、そして普段の生活習慣や生活リズムなどについて伺います。これら全ての項目はお互いに密接に関係しあっているのです。

例えば、十年、数十年前に負ったケガや外傷が時を経て、ケガをしたところとは別の場所に痛みが出てくる、というのはよくあるケースです。
また、その方が置かれている環境や状況がストレスを多く生み出し、それがやがては病気を引き起こすということもあります。


身体の状態というものは、下記のような多くの要素によっても変化します。
遺伝、体質、身体的ないし心理的外傷、過去に受けた手術、治療済みまたは治療中の病気、服用中の薬や進行中の治療法、日常の習慣、ストレスの度合、日常によく取ってしまう姿勢や繰返している動作、食生活、睡眠、スポーツの有無など…。

普段の生活で忘れてしまっていたり、気に留めることもないような、こうした目に見えにくい要素もオステオパシーは考慮に入れながら、施術を行います。


つまりオステオパシーは、その人という人物とその人の身体を全体的に捉えて、丸ごとをケアするものと言えます。
言いかえれば、オステオパシーは単に身体に出ている症状を改善させるだけでありません。その人が置かれた背景や状況を反映する身体というものを扱っているのです。


体・魂・精神・メンタル・心の調和したバランスは人間の健康に欠かせないものです。身体は身体以外の目には見えにくい要素と相互関係にあって、人の健康を成しています。
身体は、孤立して存在する物体というものとして捉えられるべきではなく、全体性の中において捉えられるべきなのです。

体の丸ごとをケア解剖・生理学的しくみの理解

人間の身体には消化器系、神経系、内分泌系などといったあらゆる機能システムがあります。これらのシステムがつながり合って、複雑に関係しあっていることで人間の身体は生命を維持したり、行動を起こすことができます。

各システムは単体で存在することなく、他のシステムと繋がっています。そのため、身体に不調が表れる場合、その原因は不調が出ている箇所とは別の場所にあることがあります。
ですから身体を治療するときには、問題のある部分だけではなく、全体的に見て身体を扱うことが大切です。

例えば、腰痛がある場合

痛みを起こしやすい原因として、どのようなシステムのつながりが考えられるでしょう?

①痛みの局所である腰の動きに関わる要素

骨、関節、筋肉、腱、筋膜、靭帯など。

②痛みの局所から少し離れている要素

臓器(消化器系、泌尿器系、生殖器系など) 神経系 循環器系 腰部以外の筋骨格系(骨盤、背骨、下肢、上肢、肩、胸郭、頭蓋骨など) 硬膜(髄膜のうちの一つ。頭蓋骨の一部から始まって、全ての背骨の中を通り、骨盤の一部まで繋がっている膜のこと)など。

オステオパット(施術者)はまず、身体の問題の原因について全ての可能性を把握します。次に、問診や触診、医学的知識によって、問題の原因をさらにつき止めていきます。
こうすることによって、治療アプローチは精密で効果的なものになります。

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